ＧＯ

2011/7/21

遥かな昔 あの人を置き去りにした。 そして 踏み込んだ道はひとりきり。 それはかまわない。 ひとりは苦にならないから。 黒い心を抱えた者には むしろ楽だった。 けれど、ゆくあてがわからない。 あの人を置き去りにしてまで 何を求めているのだろう けれど、タイムスリップして あの時に戻ったとしても 同じことをするだろう。 どうしても運命は あの人といっしょにいることを ゆるさなかったのだ。 置き去りにした人の涙は きっと乾いているはず。 遥かな過去は忘れ果てて きっと平穏に暮らしているはず。 そう信じる。いや心の底から念じる。 どうか、幸せに。 そして行方の知れないこの道を 歯を食いしばって今日も歩き続ける。 きっと光に向かっているのだと。 あの人のためにも もう二度と間違ってはいけない。 たどり着けずに、力尽きるのはわかっている。 それでも、この道を進むしかない。 誰になんと言われようと もう絶対に迷わない。 -- 小品No.210

2008/9/7 三重県にて