shohin2000 愚か者の恋 2000/11/29 夢の中で、あの人を、追いかけて、追いかけて 背中が遠ざかる その背中すらも美しくて 私は叫ぶ 「・・・!」 目覚めは、淡い光差す朝 一人の部屋 冬のはじめ 吐く息はかすかに白く 心がしびれている 黒いものを、のみこんでいる 呪われたものを、のみこんでいる 冷たい水は、私を清めてくれるだろうか 冷たい風は、私を清めてくれるだろうか 冷たい空気は、私を清めてくれるだろうか 陽がのぼり、訪れるいつもの時間、くりかえし、くりかえし 私は、やっとの思いで自分を縛る 追いかけるな、追いかけるな、追いかけるな 陽がしずみ、私は想う 今夜もまた夢を見るのだろうか、と あの人を追いかけてしまうのだろうか、と 愚か者の恋 愚か者の夢 愚か者の生 どうか、あの人を守りたまえ 信じぬ神にそう呟く夜 |