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shohin2006

消えてゆく人

2006/03/30


どうしてだろう
あんなにも
あなたのことしか
考えられなかったのに

眠りから さめたとき
朝日さす 一人の寝床
ふと、時間が止まる
見えるのは あなたの瞳
私の心の 深遠までを
貫くような あなたの瞳

通勤の その途中
群集の ただなかにいて
ふと、時間が止まる
聞こえるのは あなたの声
ほかには何も 聞こえない
すべてを奪う あなたの声

食事後の 一休み
訪れる 空白のとき
ふと、時間が止まる
よみがえる あなたの温もり
私の手を 身体を唇を
包んでくれた あなたの温もり

そうだったのに
確かに そうだったのに

いつの間に
悲しみに
慣れてしまうのか
私の愛は
枯れてしまうのか

いつの間に
いつの間に
あなたは すでに
消えてゆく人

消えてゆく幻を
誰が永遠(とわ)に追うのだろう

愚か者が永遠に追うのだろう
だから愚か者というのだろう

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