shohin1998 まあ一服 1998/1/18 カウンターの上で、光るグラス。 この国の、古い面(マスク)が、壁に掛かって。 カラカラと、氷の音立てながら、 一杯また一杯、グラスがかさなる。 想っているのは、捨てた町のあの娘。 何も言わずに、この町に来た。 (今夜はもう眠ろう、この店を出て眠ろう。) 紫の煙が、立ち上っていく。 オイルの、燃える香りが、拡がっていく。 海の向こうの国の、銀のライター。 一本また一本、煙がただよう。 いつのまにか夜の下で、ただ時が過ぎている。 そしてまたボクは別の町にいる。 (今夜はもう眠ろう、この店を出て眠ろう。) 今夜はもう眠ろう、この店を出て眠ろう。 何かに、とらわれているのか。 何かから、にげているのか。 何かに、はむかっているのか。 今夜はもう眠ろう、この店を出て眠ろう。 声を届けたかった。 (声を届けなかった。) 何を、見つけたかったのだろう。 そして、何を、見つけるのだろう。 |