さらさら

特集「未来の自分」

さらさら

風来坊ＩＮ東京 '94･1･4

何もかも流れていきます。
殺人事件も、冬期限定の恋物語も、喫茶店のマスターも、明坊も、未来を担う人も、愛しいあの人も。
きっと、流れていきます。
なのに、何かにこだわっています。

　　　ＥＶＥＲＹＯＮＥ（みんなが）。

家でなく、人でなく、物でなく…。

　　　自分？

…いえ、いえ、それは、遠き深闇の彼方。夢さえも、浅き酔い。
　　　では何に？

夕陽落ち、波止場に風が吹く。
　　　　　銀色の風が吹きます。
　　　　　　　　　　水色の空気が揺れます。

釣り人の姿とて見えぬ、山近きこの海辺の村。
　　　　古き意匠の街灯が、ポツリポツリと灯りだす。
　　　　　　　琥珀の光が、白秋の世界が、ユラユラと微笑みます。

トボトボと独り旅人は歩き続け、やがて…。
　　　　　　　　　　　　　　　旅人はさらさらと闇に消えます。

★これで、小品シリーズは、ひとまず、終わり。これ、どこだっけな。
　　　　確か、伊豆で書いた記憶が・・・。

　　　　　ああ、一夜干しが美味しかった。旅館の朝御飯は必ずおかわり。

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